恐喝罪(刑法249条)
相手を畏怖させて金品を渇取することです。
脅迫の文言に『誠意を見せろ』等があれば、金品をさす言葉として恐喝罪(刑法249条)の適用も検討できます。恐喝は被害者側が怖がらないと成立しませんので注意して下さい。
私の刑事時代に、店舗でささいなことに因縁をつけられて現金を盗られた店長が警察官に連れられた被疑者と一緒に警察署に被害届を出しに来ました。
ところが、私が「店長さん恐かったでしょう?これから被害届を取りますので恐かった 様子をお話してください。」と言うと『刑事さん、あんなチンピラ恐いわけないですよ。』と言うのです。
私が驚いた顔をして更に『えっ、恐くなかったのですか?』と質問すると『刑事さん、私達は、営業しているんです。あんなチンピラにかかわる時間がもったいないんですよ。』と強がるので、もう一度本当に恐くなかったかを質問しても店長さんが、『あんな忙しい時間帯に、あんな奴にかまってられませんからね』と供述され、私は「では、被害届は取れませんのでお帰り下さい。」と言わざるを得ないケースが少なくありませんでした。
恐くない被害者から恐喝の被害届は取れません。もし、警察に被害届を出したければ強がらずに正直に恐かったことを告げることです。
また、私のクレーム対応研修で上記のような事例を店舗責任者等に紹介した翌日、実際に 店舗において一件ヤクザ風の男性が、店員の些細なミスに因縁をつけて、店長を脅して金品を請求された事案が発生しました。
たまたま前日に研修で恐がること指導されていた店長は、
『お客様、そんな恐いことを言わないでください。うちの女性店員もカウンターであのように脅えています。そのようなことを言われた時には警察を呼ぶように指導されています。』
と告げたところ、相手の男性は、急に顔色を変えて店長に『よく、教育しておけ、ばかや野郎。』と捨て台詞を残して直ぐに帰ってしまったとの報告を受けたことがありました。
そうなのです。悪い輩ほど、どこまで攻撃できるのか、どこまでやると捕まるのか等、法律の構成要件を私達以上によく知っております。ちょっとしたポイントを頭の片隅に記憶しておくだけでも、毅然とした応対ができますので覚えておいて下さい。