先日、ある店舗担当者からこんな相談を受けました。
当店のお客様で自分の思い通りにならないとすぐに切れてわめきちらします。毎回来店時には何かしらわめき散らして、スタッフに「ぶち殺すぞ」や今日も帰り際に「こんな店潰してやるから覚えておけよ」などの言動をしており、スタッフも怖がっています。
こうしたお客様の対応用にカウンターにマイクロレコーダーを用意していますが、スタッフはバレたら何をされるかわからなくて怖いので録音等は出来ていません。どう指導したら良いか教えて下さい。
本件の様なケースでは、刑法222条の脅迫罪が適応されそうです。脅迫罪では、『自己もしくは親族の生命・身体・財産・名誉に対して何らかの危害を加える言動』があれば成立します。
「殺す」という言葉のほかに、「刺す」「しばく」「どつく」「殴る」「埋める」なども該当し、「何をするかわからない」などと暗に加害行為をすることを告げる場合でも成立します。
脅迫罪は、恐喝罪と違い、例え、こちらが怖くなかったとしても成立します。よって、相手に「お客様、そのような言動は大変なことになりますので、おやめ下さい。そのような言動があった時には、警察を呼ぶように指導されております。」とか、『お客様、今、〇〇〇(ぶっ殺す)とおしゃいました。これ以上は私とお客様だけの問題ではなくなりますので、お帰り下さい。』毅然とした態度で応対しましょう。
なお、恐喝や脅迫の文言は正確に日々業務等で使用している手帳やノートに時間を入れてメモを取っておきましょう。裁判所はスーパーペーパー主義なので、書面での証拠能力と信憑性は高く評価されることでしょう。また、『カウンターにマイクロレコーダーを用意しているものの、スタッフはバレたら何をされるかわからなくて怖いと・・・。』とありますが、会話を録音する行為は、例え相手に隠して録音したとしても違法ではなく、相手からとがめられても全く法的に問題はありません。むしろ、理不尽な相手には、
「大事な話は上司に正確に報告させて頂きますので、会話を録音させて頂きます。」
とこちらから先に言って、相手の目の前にどうどうと差し出したほうが、防犯効果があるでしょう。